UFCのテイクダウン防御率はどう計算する?AgentMMAが8,787試合から読み解く勝敗との関係
UFCのテイクダウン防御率はどう計算する?AgentMMAが8,787試合を分析した結果、テイクダウン成功数で上回った選手の勝率は68.1%だった。防御率を求める具体的な計算式を示し、階級別データとともに解説する。分析に使った標本の限界も確認し、統計を読むうえでの注意点を整理する。


まず結論
AgentMMAの分析では、テイクダウン数で上回った選手の勝率は68.1%だった。成功数に差がついたUFCの5,852試合が対象で、判定に限ると69.3%。UFCのテイクダウン防御率はどう計算するのか。1から相手の成功率を引き、100を掛ける。相手が少なくとも3回仕掛けた試合で、すべて防いだ選手の勝率は72.8%だった。2016年以降のUFC全体の成功率は36.5%で、平均防御率は63.5%。これは試合中に起きたことを示す数字だ。テイクダウンが勝因だと証明したわけでも、個々の選手の次戦を予想したわけでもない。
データ概要: AgentMMAが勝者とラウンド別統計のあるUFCの8,787試合を分析。対象期間は1994-03-11から2026-10-24。集計日は2026-10-27。
AgentMMAのデータから何がわかる?
試合中のテイクダウン防御率別の勝率(相手の試行が3+回)
- 試合中の防御率全試行を防御(100%)
- 選手の出場件数
- 1,058
- 勝率
- 72.8%
- 95%信頼区間
- 70.0-75.4%
- 試合中の防御率67-99%
- 選手の出場件数
- 1,648
- 勝率
- 57.2%
- 95%信頼区間
- 54.8-59.5%
- 試合中の防御率34-66%
- 選手の出場件数
- 2,401
- 勝率
- 36.9%
- 95%信頼区間
- 35.0-38.9%
- 試合中の防御率33%以下
- 選手の出場件数
- 1,382
- 勝率
- 23.1%
- 95%信頼区間
- 20.9-25.4%
防御率の区分が下がるたびに、勝率も72.8%から23.1%まで下がる。集計単位は選手の出場件数で、選手の実人数でも、通算防御率に基づく予想でもない。防御と勝利には関連があるが、打撃や対戦相手の強さ、ほかの技術の影響は切り分けていない。
階級別テイクダウン統計、2016-2026
- 階級ヘビー級
- 試合数
- 404
- 選手あたり15分換算の試行数
- 2.76
- 成功率
- 38.6%
- 防御率
- 61.4%
- 階級ライトヘビー級
- 試合数
- 400
- 選手あたり15分換算の試行数
- 3.35
- 成功率
- 34.7%
- 防御率
- 65.3%
- 階級ミドル級
- 試合数
- 616
- 選手あたり15分換算の試行数
- 3.80
- 成功率
- 35.5%
- 防御率
- 64.5%
- 階級ウェルター級
- 試合数
- 717
- 選手あたり15分換算の試行数
- 3.60
- 成功率
- 35.7%
- 防御率
- 64.3%
- 階級ライト級
- 試合数
- 750
- 選手あたり15分換算の試行数
- 4.08
- 成功率
- 36.9%
- 防御率
- 63.1%
- 階級フェザー級
- 試合数
- 619
- 選手あたり15分換算の試行数
- 4.00
- 成功率
- 37.7%
- 防御率
- 62.3%
- 階級バンタム級
- 試合数
- 583
- 選手あたり15分換算の試行数
- 4.56
- 成功率
- 34.7%
- 防御率
- 65.3%
- 階級フライ級
- 試合数
- 324
- 選手あたり15分換算の試行数
- 4.77
- 成功率
- 36.4%
- 防御率
- 63.6%
- 階級女子バンタム級
- 試合数
- 199
- 選手あたり15分換算の試行数
- 3.10
- 成功率
- 39.1%
- 防御率
- 60.9%
- 階級女子フライ級
- 試合数
- 281
- 選手あたり15分換算の試行数
- 3.29
- 成功率
- 39.5%
- 防御率
- 60.5%
- 階級女子ストロー級
- 試合数
- 344
- 選手あたり15分換算の試行数
- 3.65
- 成功率
- 36.8%
- 防御率
- 63.2%
最も多くテイクダウンを仕掛けたのはフライ級で、選手あたり4.77回、15分換算の数字だ。女子フライ級は成功率が39.5%と最も高く、防御率は60.5%と最も低かった。各階級で記録された試行の集計であり、全選手に同じ成績を見込めるわけではない。スタイル、対戦相手の構成、標本の大きさも考える必要がある。
UFCのテイクダウン防御率はどう計算する?
TD Defは、記録された相手のテイクダウン試行のうち、失敗に終わった割合を指す。計算式は次のとおり。
TD Def = 1 - (相手のテイクダウン成功数 / 相手のテイクダウン試行数)
100を掛けると百分率になる。計算例として、相手が5回成功し、試行数が25回だったとしよう。防いだのは20回で、防御率は80%。これは式を説明する例で、今回の研究結果に加えた数字ではない。
テイクダウン成功率は、自分の成功数を自分の試行数で割る。防御率で使うのは、仕掛けられた回数だ。同じ選手の成功率と防御率でも、対象となる攻防が違う。足して100%になる必要はない。
試行がなければ、防御率は測れない。相手からテイクダウンを仕掛けられた記録がなければ、完璧な防御を確認したことにはならない。まだ試されていないだけだ。この場合は100%より、欠測値として扱うほうが実態に合う。
通算防御率には累計数を使う。相手の試行数と成功数をそれぞれ合計してから計算する。試合ごとの率を平均すると、試行が一度だけの試合と、何度もあった試合が同じ重みになる。

何がテイクダウンの試行として数えられる?
UFC Statsは試行数と成功数を記録するが、動きを分類するのは人だ。FightMetricの過去の用語集では、意図的に相手を倒し、有利な位置を確立できるだけの時間を保つと成功になる。マットに一瞬触れただけで、自動的にこの条件を満たすわけではない。
試行をどこで区切るかも関わる。両脚タックルから片脚タックルに切り替え、組み手を変え、ケージ際で再び仕掛ける場面を考えてほしい。記録上の回数は、記録員がその動きをどこで分けるかによって決まる。過去の用語集は、あらゆるスクランブルに対応する現在の詳細な記録基準ではない。
回数とコントロール時間は違う。長い攻防の中で、立ち上がった相手を何度も倒し直し、そのたびに成功と記録されることがある。一度のテイクダウンから、長く上を取り続けることもある。その違いを知るには、倒した後の展開を見る必要がある。
なぜ試行数が大事なのか?
分母がわからなければ、率だけでは判断しにくい。一度の試行を防いでも100%になる。長いキャリアで全試行を防いだ場合も同じだ。表示は同じでも、裏付けは違う。
UFC Record Bookの防御率ランキングには、UFCで最低5試合、相手の試行数が最低20回という条件がある。これは通算成績のランキング基準だ。AgentMMAが試合単位の集計に使う条件は、相手の試行が3+回。両者の基準を混同してはいけない。
試行数が多くても、試された技術が偏っていることはある。同じ相手が繰り返すタックルだけでは、すべてのレスリングスタイルを網羅できない。消耗前の中央でのタックル、ラウンド終盤のケージ際の攻め、クリンチからの足技では、防御に求められるものが違う。
テイクダウンやタックルの防御は採点される?
ABCの採点指針では、防御だけでは加点されない。タックルを切れば攻撃に移れるが、ジャッジが評価するのはそこから生む攻撃だ。テイクダウンにも、決まった点数はない。
ABCの2025年の補足説明は、有効なグラップリングをダメージと結び付けている。対象はテイクダウン、上下の入れ替え、サブミッションの仕掛け、有利なポジションからの攻めだ。審判向けハンドブックも、単なる位置の変化と、攻撃につながるテイクダウンを区別している。
だから、合計数だけで採点は決まらない。テイクダウン数で上回っても、有効な攻撃では劣る場合がある。逆に、下から一本を狙って相手を追い込んだり、より大きなダメージを与える打撃を当てたりする選手もいる。
ジャッジはラウンドごとに採点する。AgentMMAの判定勝率69.3%は、試合全体のテイクダウン数と最終的な勝者を比較した数字だ。個々のテイクダウンがどう評価されたか、各ラウンドを誰が取ったかを測ったものではない。
テイクダウンが多ければUFCで勝てる?
今回の標本では、テイクダウン数が多い選手ほど勝つ傾向があった。成功数に差がついた5,852試合で、多く決めた側の勝率は68.1%。同数の試合は除外しており、双方とも成功なしの試合も含まれない。
この条件は見落とせない。レスリングを仕掛けた全選手の勝率でも、打撃主体の全選手との比較でもない。テイクダウン成功数で明確に上回った側がいる試合を対象にしている。
強い選手はレスリングも巧く、ほかの技術でも勝てるのかもしれない。試合展開によって行動が変わることもある。劣勢の選手が無理にタックルへ入り、優勢の選手が安全な位置を選ぶ場合もある。この研究では、そうした戦術上の意図は特定していない。
防御率別の集計も、予想に使うには同じ問題がある。結果を説明したい試合の、その試合中の防御率を使っている。通算防御率が完璧な選手だからといって、72.8%をそのまま次戦の予想に使うことはできない。

TD Defでは何が見えない?
立ち続けるための負担は見えない。タックルを何度も防いでも、長時間ケージに押し付けられている場合がある。その攻防で脚が消耗したか、打撃の手数が減ったかは、防御率だけではわからない。
倒された後の立て直しも見えない。すぐに立つ選手もいれば、下になったままの選手や、背中をさらす選手もいる。立ち上がり、上下の入れ替え、一本の危険、ダメージによって、同じ防御率でも意味は変わる。
試行は無作為なテストではない。強いレスラーや一本を取るのが得意な選手には、相手がタックルを避けることもある。通算の平均値には昔の試合と最近の試合も混ざる。技術、体調、ペースの変化が埋もれてしまう。
試合を読むときにどう使う?
まず仕掛けられた回数を確認し、誰がいつ仕掛けたかを調べよう。選手データベースで数字の背景を確認してほしい。丸められた率だけで、その選手の分析が済むわけではない。
次に、レスリングのスタイルを照らし合わせる。ケージ際の圧力、連続する仕掛け、打撃から入るタックルにどう対応するかを見よう。最初のタックルを強いスプロールで切れても、続くボディロックを外せるとは限らない。
成功したテイクダウンの後も追う。どれだけ下に留まるか、どんなダメージを受けるか、立つ際にサブミッションの隙を見せるかを確認する。攻める側については、短い倒し直しの繰り返しと、攻撃を続けられるテイクダウンを分けて見たい。
そうした点を意識して、試合予想を読もう。役立つプレビューは、主張の根拠となる試行を示し、その組み合わせで何が不確かなのかを説明する。階級別の表は背景を知る手掛かりで、勝敗を自動で決めるものではない。
モデルを作るなら、率とともに回数も使おう。試合後にしかわからない情報を、試合前の入力に混ぜてはいけない。この研究は結果を記述するもので、予想モデルを検証したものではない。
このデータはどこまで信頼できる?
AgentMMAは、勝者とラウンド別統計のあるUFCの8,787試合を分析した。対象期間は1994-03-11から2026-10-24。勝者がいない試合や、必要な統計がない試合は対象外となる。テイクダウン数と勝敗の分析に含めたのは、成功数に差がある5,852試合だ。
防御率別の集計は、相手の試行が3+回あることを条件とし、選手の出場件数を数えている。階級別の表は2016年以降が対象で、試行数は選手あたり15分に換算した。UFC全体の成功率36.5%と防御率63.5%は、試行をまとめて集計した値だ。表示された各選手の通算率を平均したものではない。
限界は三つある。通算防御率は累計値なので、一度の試行を防いだだけで100%になることがある。複雑なスクランブルや足技を含め、数え方を判断するのはUFC Statsだ。ラウンド別統計があるのは、AgentMMAのデータベース内の試合の約58-64%にとどまる。
記録が欠けている試合は、集計に含めた試合と性質が違う可能性がある。欠測データを点検しなければ、率への影響はわからない。95%信頼区間は、示した推定値の不確かさを表す。標本の偏りを取り除いたり、対戦相手の強さを補正したりするものではない。
提示された集計方法には、信頼区間の計算法が明記されていない。同じ選手の複数回の出場を考慮したかどうかも不明だ。この区間を、すべての観測値が互いに独立だという証明として読んではいけない。
記録の修正、対象試合の追加、対戦相手を考慮した分析によって、この傾向が弱まる可能性はある。試合前にわかっていた情報だけを使う将来の検証で、予想への有用性の評価が変わることもある。ここでは、そのいずれも実施した結果は示されていない。
よくある質問
UFCのTD Defとは?
TD Defはテイクダウン防御率。記録された相手の試行のうち、失敗に終わった割合を指す。率と一緒に、仕掛けられた回数も確認しよう。
UFCのテイクダウン防御率はどう計算する?
1から、相手のテイクダウン成功数を試行数で割った値を引き、100を掛ける。仕掛けられた試行がなければ、防御率は定義できない。
UFCで防御率が高いと言える目安は?
AgentMMAが2016年以降の試行をまとめて集計した防御率は63.5%。全選手共通の合格ラインではない。対戦相手、試行数、倒された後の立て直しによって、個々の率の読み方は変わる。
UFCのテイクダウンはどれくらい成功する?
AgentMMAの分析では、UFC全体の成功率は36.5%だった。対象は2016年以降の試行。これは技が成功した割合で、記録員が攻防を正しく分類できた割合ではない。
テイクダウンが多ければUFCで勝てる?
テイクダウン数で上回った選手の勝率は68.1%。成功数に差がついた5,852試合の結果で、判定に限ると69.3%だった。試合中の防御が完璧だった選手は、相手の試行が3+回ある場合に72.8%勝っている。関連を示す数字であり、勝利の保証ではない。
出典と参考資料
この記事の根拠となるデータと公開資料です。
- UFC Stats: official bout records behind AgentMMA's database (ufcstats.com)
- FightMetric Stats Glossary: historical takedown definition (www.mmafighting.com)
- UFC Record Book: takedown-defense leaderboard eligibility (statleaders.ufc.com)
- ABC: MMA Scoring Criteria Clarification, July 2025 (www.abcboxing.com)
- ABC: MMA Officials Handbook, 2025 (www.abcboxing.com)
データを予想に活かす
2人の選手を比較したり、今後のUFCの試合に対するAI予想を確認したりできます。
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